目次
誓約書とは?
誓約書は「せいやくしょ」と読み、記載した約束事について守るという誓いを立てる書類です。
約束事を守る意思を表示する側が、書面に記載された内容を確認し署名捺印、あるいは記名押印します。一方の当事者が他方当事者へ提出する書面となりますので以前にご紹介しました同意書と似た性質を持つ書類となります。
(参考)コラム:同意書って?記入方法や法的拘束力、承諾書との違いを徹底解説!
同意書とは異なり注意すべき点としては、提出者が負うべき義務です。誓約書に記載されている事項への義務という意味合いが強いのが誓約書となりますので、提出にあたっては内容の確認へ一層の注意が必要です。
誓約書の特徴は?
では、誓約書の特徴についてみていきましょう。
まずは法的効力の観点です。
誓約書にも契約書と同様に、当事者が守る約束という「義務」について記載しますので契約書と同様に証拠書類としての法的効力をもちます。
よって、誓約書を提出する側には記載した内容を守る「義務」、そして受け取る側には、記載した内容への違反があった場合に損害賠償を求める権利等が発生いたします。
但し、約束事として何でも記載して良いかというと、そういうわけではありません。
公序良俗に反する内容や、強要にあたる内容、関連する法令に違反する内容などは無効となり、そもそも契約として成立いたしません。
次に誓約書を提出、あるいは受け取る当事者の観点での特長をみてみましょう。
大きな特徴としましては、一方方向の書面であるという点です。提出する側と受け取る側が存在し、提出する側が署名や捺印を行います。この点は契約書と異なる部分ではございます。しかし、誓約書というタイトルであっても双方が署名捺印を行う場合もございます。この場合はタイトルに関わらず、当事者双方の意思を表示している契約書であるといえます。
夫(妻)に不倫(不貞行為)があったときの誓約書は?
誓約書についていくつかの事例をご紹介いたします。
夫婦間のトラブルで必要になる場合で、夫(妻)に不倫(不貞行為)があったときを例にします。
この場合の誓約書の目的は、婚姻関係の継続と円満な夫婦生活への修復です。
その為に、相手方へ対し、二度と不貞行為をしない旨を記載した誓約書を交わします。
この誓約書により、受け取る側としては、次に不貞行為が発覚した場合の離婚条件を有利に進める事ができますし、相手方への再発の予防というメリットもございます。
但し、現実的な場面では、不貞行為をした相手方が誓約書への署名や提出を拒否する可能性も想定されます。また、記載内容によってはそもそも無効となる場合もございます。
よって、弁護士に相談するなど、専門家からの助言を受けつつ書面の作成や相手方の提出を進める事をお勧めいたします。
注意点は?
不貞行為をしてしまった側(誓約書を提出する側)として注意すべき点は、慰謝料が高額になりえる、という点です。
不貞行為は民法に定められている離婚原因となります。不貞行為への誓約書に違反をした場合、慰謝料請求への有力な証拠となりますので、結果として高額な慰謝料になる場合がございます。
誓約書に記載することは?
夫(妻)に不倫(不貞行為)があったときの誓約書には以下のような事項を記載します。
・不貞行為の事実
・不貞行為における相手との関係の清算
・二度と不貞行為をしないという事
・円満な夫婦関係への修復への努力
・次に不貞行為があった場合の取り決め(離婚協議への異議申し立てをしない、慰謝料の記載、親権や養育費についての記載、等)
特に、法的な証拠力として誓約書を求めるのであれば、最後の取り決めのところについては十分に検討して記載するようにしましょう。
婚姻関係の継続を目的とする誓約書は?
夫婦間のトラブルは不貞行為のみではございません。
そして、信頼を損なうような過ちや失敗などがあったとして、婚姻関係は継続させたいという場面も想定されます。
婚姻関係の継続を目的とする誓約書の特徴についてもみてみましょう。
この場合ですが、相手方への誠意の証として残されるケースが多いかと思います。
将来を見据え、双方が確認のうえ誓約内容を記載し、円満な婚姻生活の修復に向けて作成するのがポイントとなります。
注意点は?
法的な効力としての証拠力の高め方という観点での注意点について触れておきます。
国の機関である公証役場では、私文書に対して作成した本人を証明する私署証書の認証という制度を受ける事ができます。また、誓約書への確定日付印を押す事で、より証拠力としての信用性を高める事が可能です。
私署証書の認証と確定日付については専門家へ詳しく伺っていただきながら手続きいただければと思いますが、電子契約サービスによる代用というのも想定されるかもしれません。
私署証書の認証という点を電子署名により、確定日付という点をタイムスタンプにより、それぞれ証拠力を高めるという考えです。
とはいえ、電子契約の場合は通常の運用であれば、当事者双方の電子署名が施される事になりますので、一方の署名を求める形式である誓約書においては運用の検討は必要かもしれません。
誓約書で電子契約サービスを利用したいという場合は一度、DX-Signの事務局までご相談いただければと思います。
誓約書に記載することは?
婚姻関係の継続を目的とする誓約書へは以下のような事項を記載します。
・誓約書を作成するに至った事象とその事象への再発防止
・円満な婚姻生活に向けた夫婦間の協力
・誓約書への違反事項への取り決め
円満な婚姻生活の継続を前提としますので、双方で協議し気持ちよく約束を交わすようにしましょう。
新型コロナの影響によるDVやモラハラ・暴言等をやめてもらう誓約書は?
プライベートなテーマの話題が続いておりますが昨今ならではのテーマでも解説したいと思います。
新型コロナウイルスの感染拡大は、外出自粛等のストレス増や家庭における経済的困窮へも起因しDVやモラハラの被害もニュースで話題になる事がございます。
特に夫婦関係や家族関係においては、これまで以上に長い時間を一緒にする機械が増えるというのも上記問題に起因するとの事です。
では、このような問題に対峙した際に、相手方への抑止効果や関係性の修復に向けては、どのような誓約書を求めるべきでしょうか。
注意点は?
注意点とは異なるかもしれませんが、まず初めに、口頭では済ませずに誓約書を交わす意義についてです。
口頭で約束したとしても繰り返されない、という保証とはなりません。よって繰り返された場合の対策としても誓約書は大切な意義を果たす事になります。
よって誓約書を法的効力としての証拠文書として位置づけるのであれば、記載内容は曖昧な表現とせず、裁判になった際に第三者が見ても共通に理解できる文章で記載しておく必要がございます。
現実的には、新型コロナの影響によるDVやモラハラ・暴言等をやめてもらいたい側からすると、書面を提示し誓約書へ署名捺印を求めるのは困難かもしれません。
早めに弁護士など専門家へ相談のうえ対応を進めるのが良いでしょう。
誓約書に記載することは?
記載事項としては、事実関係を明確かつ具体的に記載し、その事実関係を受けてどのような約束をするのかを明示しておく必要がございます。
また、約束に違反した場合の取り決めについても具体的に記載しておくと良いでしょう。
先述しておりましたが、上記を活用し利用するのはトラブルになった場合の裁判において等です。
裁判官など、第三者にとってもわかる内容で記載するという前提も注意のうえ記載しておくようにしましょう。
まとめ
今回のテーマは誓約書について、どのようなものか、定義や特徴について解説いたしました。
誓約書は、契約書と同じく法的な証拠力として認められる書類となりますが、一方の当事者のみの主張であるケースがほとんどという点においては契約書と異なります。
とはいえ、それぞれの当事者にとって大切な役割を果たしますので、署名捺印をする側の当事者はもちろんですが、受け取る側においても、その内容をしっかりと確認した上で作成するのが重要となります。
また、法的証拠力を高める為に、誓約書への署名について電子契約サービスを利用するという考えもあるかもしれません。その場合はDx-Signの事務局までお気軽にご相談ください。